「ファストフードじゃなくて、手料理みたいな出会いだった」シングルファザーの彼が、顔を知らない相手と結婚するまで
「恋愛」という言葉を聞くと、どこか自分が試されているような、少し息苦しい気持ちになることはありませんか?
今回お話を伺ったすずさんも、そんな一人でした。
すずさんは大学院を修了し、大手メーカーの研究職として働いています。
男子校出身で女性友達も少なく、現在の奥様に告白するまでは、自分から告白したことも無かったそうです。
シングルファザーとして子育てに奮闘していた彼。そんな彼が選んだのは、顔も条件も見ずに、アバター姿で会話から始めるという出会い方でした。
どのように出会い結婚したのか、その等身大のストーリーを伺いました。
2時間のデートが怖かった
柴田: すずさん、年末年始のお忙しい中ありがとうございます。今はご実家ですか?
すず: いえ、子供は実家に預けていて、今は妻と二人でゆっくり過ごしています。
柴田: それは素敵ですね。すずさんは今、その奥様と幸せな家庭を築かれていますが、「自分は恋愛が得意じゃない」と仰っていましたよね。経歴だけ拝見すると、とても優秀でモテそうなイメージがあるのですが……。
すず: 全然そんなことないです。僕、ずっと男子校でしたし、女性の友達もいなくて。だから、「女性と二人きりでご飯に行く」というシチュエーション自体が、もうハードルが高すぎるんです。
柴田: ハードルが高い、というのは?
すず: 「何を話せばいいんだろう?」って。初対面の人と向かい合って、2時間どうやって楽しんでもらえばいいのか、その引き出しが僕にはないんです。「どんなお店なら喜ぶかな」「どうエスコートすればいいのかな」って考えると、仕事より大変そうで……(苦笑)。
柴田: なるほど。「楽しませなきゃいけない」というプレッシャーですね。
すず: そうなんです。それに、一般的なマッチングアプリだと、どうしても写真や年収といった「スペック」から入りますよね。写真を見て会ってみて、「あ、実物はなんか違うな」って思われるのも怖いですし、自分自身を良く見せようと「プレゼン」しなきゃいけない空気感が、どうしても肌に合わなくて。
柴田: 無理をして「よそ行きの自分」を演じ続けるのは、疲れてしまいますよね。
すず: ええ。それに当時はシングルファザーとして保育園に通う娘を一人で育てていたので、物理的にもデートの時間は取れませんでした。「もう自分には、恋愛なんて無理だろうな」と半ば諦めていたんです。
アバターだからこそ、「鎧」を脱いで話せた
柴田: そんな中で、アバターを使って会話をするという僕たちのサービスを見つけてくださったわけですが、最初は「顔が見えない」ことに不安はありませんでしたか?
すず: それが、意外と逆だったんです。顔が見えないアバターだからこそ、変に緊張せずに「素の自分」でいられたというか。
柴田: 素の自分で。
すず: はい。リアルなデートだと、どうしても身だしなみを整えて、背筋を伸ばして「キリッとした自分」を演じなきゃいけないじゃないですか。でも、ここでは自分も相手もアバターです。娘を寝かしつけた後の夜10時に、自宅からパジャマのような格好でも参加できる。
柴田: リラックスした状態で話せるんですね。
すず: そうなんです。お互いに「見た目」という情報がない分、純粋に「会話」だけに集中できました。話題のガイドもあって沈黙も怖くなかったですし、「あれ、僕でも意外と女性と自然に話せてるじゃん」って。 外見を気にして緊張するエネルギーを使わない分、相手の話をじっくり聞くことに集中できた気がします。

新婚旅行の写真
「あ、そうなんや」で救われた瞬間
柴田: 奥様とは、その空間で出会われたんですよね。決め手になった瞬間などはあったんですか?
すず: やっぱり、会話の波長が合ったことですね。彼女は僕の話を否定せずに、すごく柔らかく受け止めてくれる人でした。 実は、3回目くらいの会話で、勇気を出して「僕、子供がいるんだ」と伝えたんです。普通のマッチングアプリだったら、その時点で連絡が途絶えてもおかしくないですよね。
柴田: 確かに沢山の男性がいる中で、検索条件でフィルタリングをしている方もいると思います。
すず: はい。でも彼女は、「あ、そうなんや」って。本当に自然に、フラットに受け入れてくれたんです。
柴田: それは嬉しいですね……!
すず: 救われましたね。もしこれが、条件や顔写真から入る出会いだったら、ここまで深く僕の人柄を知ってもらう前に終わっていたかもしれません。 何時間も話して、お互いの内面や価値観が合っていることが分かっていたからこそ、僕の事情も含めて受け入れてもらえたんだと思います。「順番が逆」だったのが、僕には合っていたんですね。
ファストフードではなく、「手料理」のような関係を
柴田: 実際にお会いしたのは、もう告白しようと決めてからだったとか。
すず: そうです。出会って数ヶ月、顔も合わせずにずっと話していて、「この人となら大丈夫だ」という確信がありました。初めて会った時も違和感は全くなくて、イメージ通りの人でした。
柴田: 顔が見えない期間に積み上げた信頼は、本物だったんですね。
すず: 本当にそう思います。 今の世の中のマッチングって、どうしても効率重視というか、パッと選んでパッと会う「ファストフード」のような出会いが多い気がするんです。それはそれで良いのかもしれないですけど、僕みたいに仲良くなるのに時間がかかるタイプだと難しいです。 でも、ここでの出会いは、手間ひまをかけて相手を知っていく「手料理」みたいだなと。時間はかかりますけど、その分、温かくて深い関係性が築けるような安心感がありました。
柴田: 「手料理のような出会い」。すごく素敵な表現です。
すず: 恋愛に自信がなくても、着飾って自分を大きく見せなくても、中身を見てくれる人はちゃんといるんだなと実感しました。 結婚してからも、アバターで話していた時のまま、無理せず自然体で過ごせています。それが何より一番、幸せですね。

新婚旅行の写真②
編集後記
すずさんのお話を聞いて感じたのは、恋愛の始まりは「品定め」ではなく、もっと温度感のある「対話」でも良いということです。
うまく喋れなくても、スペックを誇示しなくてもいい。 ただ、一人の人間として向き合い、時間をかけて心を交わす。
そんな「手料理」のような出会いが、一つの当たり前の選択肢として、もっと世の中に広がっていってほしい。すずさんの穏やかな声を聞きながら、そう強く思いました。
すずさんは僕達が運営しているメモティアで出会った方と結婚されました。
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